
「墨の縁」
水墨画家
阿多野 桐黑/tōkoku adano
東北新幹線に乗って八戸駅。
さらにローカル線に乗り換えて北上して下北半島・むつ市へ。
これが僕の帰省のお決まりパターンだったが、この夏は途中下車をすることに決めた。
6月に自費出版した「LIFE HISTORY MIXTAPE」を2軒の本屋さんに直接届けるためである。
いつも通過するだけだった盛岡駅。
快晴。路線バスに乗り少し歩くとBOOKNERDはあった。
店先の蔦が風に揺れ光が差し込んでいて美しい。 もう来てよかったと感じた。
店主の早坂さんと少し話して、八戸にも寄ることを話すと
「それなら是非6カク珈琲に立ち寄ってみてください」
とオススメのお店を教えてくれた。
八戸駅は曇り。
いつもならオートマチックに乗り換えするところを今回はレンタカーを借りた。
八戸ブックセンターの担当・森さんと話し、 例の6カク珈琲には“わくわく書房”という本屋スペースがあることがわかった。
小雨がパラつく中、少し車を走らせて6カク珈琲へ。
古民家のお屋敷を改装した店。
とんでもない格好良さだ。頼んだスイーツとコーヒーは絶品で、 その濃くて甘いアイスコーヒーは、沖縄の喫茶店・原点に影響されていると聞いた。
その店は僕が沖縄を訪れると必ず行くお店だった。わくわく書房を運営するのんちゃんが、 地元・むつの美味しいカレー屋を教えてくれた。 八戸の人から自分の地元の新しい情報を聞くのは不思議な気分だったが、 不思議はそれにとどまらなかった。
詳しく聞いてみるとカレー屋の店主は、僕が昔からよく知る同級生の弟・ヨシヒサだということがわかった。 あのヨシヒサが自分のお店を開いたのか。なんだか感激した。 彼はDJとしても活動していて、主催するイベントのフライヤーが6カク珈琲に置かれていた。
今度はそのデザインを見てピンときた。 これをデザインしたのは地元の同級生のハルキな気がする。LINEで確認したら当たっていた。
東京から地元に戻ってデザインの仕事をしているハルキは、僕がMacを触るようになる入り口になった友人だ。 拙著「LIFE HISTORY MIXTAPE」もあらゆる作業をMacでやってできあがったものだ。
自分の原点を思い出させられた気持ちになり、さらにエモーショナルな気分になった。
世の中は偶然に彩られている。
きっと普段とちょっと違うチョイスが不思議なご縁への入り口なのだ。
翌日、ヨシヒサのカレー屋に行こうとしたら臨時休業だった。
Insta:https://www.instagram.com/lifehistorymixtape/
WEB SHOP:https://mawarushobo.base.shop/
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¥1,650
今を生きるラッパーたちへインタビュー
子供の頃の話を集めた生活史集
【語り手】
EASTA
Flashy Naked
TOFU
Natural P
ratiff(Neibiss)
Joseph Blackwell
Ganafii
Tepa Roucci
SOMAOTA
valknee
Profile
菊池謙太郎
2024年6月に今を生きるラッパーの子供の頃の話を集めた「LIFE HISTORY MIXTAPE 01」を出版。
ABEMA『ラップスタア』にディレクターとして参加。お笑いコンビ・エレキコミックの周辺映像を担当。書籍『東京の生活史』(岸政彦編)参加をきっかけに生活史の聞き取りをはじめる。
水墨画家
阿多野 桐黑/tōkoku adano
バレエダンサー・写真家
マチュー・ルオー
バレエダンサー
井福俊太郎