ブレている。
俳優
永山 瑛太
我が家には、妻、息子、娘、猫3匹、亀、
金魚、ウサギ2羽、フトアゴヒゲトカゲ2匹、
が住んでいる。
皆、朝起きて、ご飯を食べて、トイレをして、ゴロゴロしたり、声を出したり、言葉を喋ったり、寝たりする。
先日、文鳥の梅ちゃんが亡くなった。
5歳だった。
梅ちゃんは、人懐っこい子だった。
キッチンの1番高い場所から、
皆を見守り、綺麗な声で鳴き、「お腹空いたよー」「遊びたいから外だしてー」と私達に伝えて、我が家に来た5年前から、キッチンの扉を閉め、猫を外に出しケージから外に出すと、私達の頭頂部にしがみつき、指先に乗り、私達が、
「ぴょんぴょん、ぴょんぴょん」というと、
指の上で何度もジャンプして嬉しそうに
綺麗な歌声で「ぴよ、ぴよ、ぴよぴぴー」と、何度も何度も繰り返して、
私達を癒してくれていた。
毎朝、私が1番早く起床し、キッチンに行くと猫の「ひじき」メス2歳が、私の膝あたりにお尻と尻尾で、スリスリしてきて、匂いをつける。可愛いから、色々と話す。眠れた?お腹空いた?「おくら」オス3歳は、どこにいる?全て、何かしらの合図で、ひじきの今日の気分が分かる。
次に梅ちゃん。
いつも梅ちゃんのケージに就寝前、布をかけてあるから、「起きてるよー、布を取ってー」と合図をくれる。
餌と水の交換。「梅ちゃんおはよー」と言うと、
「ぴろぴろ、ぴろぴ、ろぴろぴー」と、
これは、早く遊んでほしいのか、と
「ちょっと待って」と、おくらをベランダに連れていきブラッシングのため、キッチンから、出る。
先日、そのルーティンに変化があった。
梅ちゃんのぴろぴろが、
弱々しく「ぴーー」の一言だった。
何となく違和感を感じたが、餌の交換だけして、私は、おくらのブラッシングのため、そこから離れてしまった。
その日の夜、巣箱の中で目を瞑り、動かなくなっていた。
直ぐに娘と妻を呼び、梅ちゃんの死を受け入れた。
我が家にきた時に、寿命を調べていた。
8年から10年は生きる。
何故、5年。。
家族みんなが、
もっと遊んであげてたら、、
おくらとひじきは、家族として異変に気付いたのか、ガラス越しにじっと見守っていてくれた。
息子は帰ってきて、驚き、この状況をどう受け止めて良いのか、動かずにいた。
娘は、気持ちの整理がつかず、梅ちゃんを小さな両手で包んで、ずっと泣いていた。
「こんな細い足でずっと立ってたんだね」
「もっと遊んであげればよかった」
「クチバシ、、こんな色になっちゃうの」
私達が慰めても、涙が溢れ、梅ちゃんと2人になりたいと、トイレに連れてこもってしまった。
残された、妻、息子、私で、扉の向こうから聞こえてくる娘の泣き声に、ただ静かになったキッチンで、立ち尽くすしかなかった。
ただの小さいペットの文鳥ではない。
私達にとって、当たり前に梅ちゃんと過ごし、
同じ空間の中で生きていた。
誕生日会などで人が沢山いても、
ぴょんぴょん跳ねて、綺麗な音色で歌っていた梅ちゃん。
人を選ぶ梅ちゃん。
台本を読んでいる私が嫌で、私の唇を突き、
台本の端っこを齧って破る梅ちゃん。
妻の頭が1番落ち着く梅ちゃん。
息子は、同級生だと思ってる梅ちゃん。
娘の声を聞くと、元気になる梅ちゃん。
娘が手紙を書こうと、4人で手紙を書く事にした。
娘の、手紙の言葉に、涙がとまらなくなった。
「うめちゃん、いつもうちの中できれいな声を聞かせてくれてありがとう。
元気でかわいいうめちゃんが大好きだよ。
永山家を空から守ってね。
わたしの夢のなかにでてきていいからね。
愛してるよ」
一つの命が尽きる事、
家族で死生観を見つめ直し、
「死」から「生」を受けとめる。
梅ちゃんありがとう。
Photographed with GR II
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太
俳優
永山 瑛太