
「墨の縁」
水墨画家
阿多野 桐黑/tōkoku adano
「お父さん、この石“レガシィ”に似てる!」
夏の河原にしゃがみ込んだ5歳の僕が、ハッチバックに見えなくもない形をした石を拾い、そう叫んだ。
“レガシィ”とは当時父親が乗っていた車で、僕はこの石に「レガシィ石」と名付けた。
レガシィに似てるからレガシィ石。安直な名前だ。
子供の頃は父親が運転するレガシィに乗って、よく色々なところへ出かけた。
そして車内では、いつも音楽が流れていた。
僕が買ってもらったドラえもんの主題歌が収録されたカセットテープを流す日もあれば、
父親がダビングした吉田拓郎、イルカ、チューリップなどの70年代フォークが再生される日もあった。
思えば僕の音楽的価値観の基礎は、旅中のレガシィの車内で固められたのだ。
そんなレガシィは、僕が小学校に上がったくらいの頃に買い替えのため、我が家を後にした。
しかし「レガシィ石」だけは我が家の片隅に佇み続け、30年以上経った今も、僕の手元に残っている。
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Profile
石垣翔大 Shota Ishigaki
1987年生まれ。埼玉県出身、東京生活を経て現在静岡県在住。
幼少時代より音楽に親しみ、独学でギター、ベース等の楽器に触れる。
2010年にプログレッシブハードフォークバンド「曇ヶ原」発足。国内ツアー、ワンマン公演、FUJI ROCK
FESTIVAL出演を経て、2024年末脱退。
現在はギターの弾き語り形態で“引き算”の音楽及び「AcidSadFolk」の追求を目標とし活動中。
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水墨画家
阿多野 桐黑/tōkoku adano
バレエダンサー・写真家
マチュー・ルオー
バレエダンサー
井福俊太郎