はじまりはバレエ / ブラウリオ・アルバレスさん

10月の東京バレエ団公演「ザ・カブキ」。わたくしは、イシズさんの息子9さいと初日に。毎年、拝見したいと願う、すばらしい舞台でした。

さて、本日ご登場いただくのは、タワーギャラリーでの展示にてショウケースを、華やかにアレンジしてくださったブラウリオ・アルバレスさん。「コレオグラフィック・プロジェクト2024」のお衣装を間近でみられる貴重な体験でした。ブラウリオさん、展示はいかがでしたか？

ブラウリオさん）先ずは、東京バレエ団「Choreographic Project」と、コラボレーション展示の提案をしてくださった、絵本『ぼくはダンサー』の著者イシズさんと、「東京タワーで、あいましょう」計画の池田さんに感謝したいと思います。 「Choreographic Project」は、東京バレエ団が推進する「スタートアップ」プロジェクトですが、ダンサーが主体となって運営しています。多くのダンサーは、ただ踊るだけではなく、自分の考えを、動きを通して表現するために、独自の振り付けを創作する必要があります。ダンス界もまた、芸術としてのダンス界を存続させるために、新しい作品の創作を必要としています。しかしながら、このようなプロジェクトを、経済的に持続させることは難しいです。すべてのダンサーが全力で取り組んでいるとはいえ、振付に初挑戦するダンサーもおり、上達するためには失敗も許されなければなりません。このプロジェクトが、多くのお客様に傑作を売り込むようなものでなくとも、ダンサー、スタッフ、会場への支払いが必要です。 そのため、このプロジェクトは、現役のダンサーたちに振付を試すチャンスを与えるプラットフォームとして捉え、願わくば、私たちの中から未来のダンス界をリードする人材が出てくることを期待しています。

東京バレエ団のダンサーと元ソリストの私は、従来の公演とは異なる様々な方法で、お客様にアプローチし、応援してくださる方々とつながるプロジェクトを創りたいと考えてきました。また、私たちの行動が環境にどのような影響を与えるかを意識し、何かを作らなければならないときには、できるだけゴミを出さない、環境に優しい素材を活用するということを考えています。 これまで、屋内外のステージや上野公園での公演、インスタグラムのライブイベントなどを定期的に開催してきました。また、カンパニーのダンサーがフェアトレードのオーガニック素材を使ってデザインしたグッズを制作し、資金を集めていました。 そのため、東京タワーでのイベント開催のお話をいただいたとき、ダンサーでありオーガナイザーでもある岡崎隼也さんは「新しいことに挑戦したい！」と意気込んでいたのですが、正直なところ、今後の公演のために集めた大切な資金の一部を失ってしまうかもしれないという怖さもありました。 いろいろ考えた末、そして、事務局のサポートを持って、私たちはやってみることにしました。会場では、過去のChoreographic Project公演の上映、ダンサー仲間が撮影したリハーサルの写真や公演で制作・着用した衣装の展示のほか、ワークショップ、トークショー、ミニパフォーマンスなど。この4日間で、私たちはお客様とより個人的なコミュニケーションをとることができ、私たちのプロジェクトを新しいお客様、その多くは外国人）に紹介することができました。個人的には、自分の振付のために作った衣装の数々を披露することができました。もうお客様の目に触れることはないだろうと思っていた衣装をお見せすることができ、感慨深いものがありました。 今回のイベントで、カンパニーがどれだけ進化したか、そして多くのダンサーが自分の隠れたクリエイティブな才能を発見したかを示すことができたと思います。また、私たちの活動に興味を持ってくださる方がたくさんいらっしゃることを実感しました。このプロジェクトに参加するダンサーたちが自信を持つことで、舞台でのパフォーマンスにも良い影響があると信じています。 

ブラウリオさんの言葉通り、外国人の方にもご好評をいただいた本展。写真は、アムステルダムからいらしたデザイナーの方との写真です。彼女とは今もSNSを通じてお話をしていますが、ブラウリオさんのお衣装の細やかな仕事や、プロジェクトの記録や絵本に対しても、熱心にご覧になっていました。展示期間中、お忙しい中、時間をぬって会場にもいらしてくださったブラウリオさん。次回は、その様子やミニパフォーマンスについてお話いただきます。