ALOHAを思い出させてくれる小さなギター

自然写真家

高砂淳二

 2001年の夏に、マウイ島で先住ハワイアンの智慧を伝える人に出会った。草花や果実、祈り、ロミロミ(マッサージ)などで病気を治療する人だ。被写体である自然と人との関係を深く知りたかった僕にとってはまさにストライクで、すぐに弟子にしてもらい様々なことを教えてもらうことになった。リゾート地としてのハワイしか知らなかった僕は、それ以降ハワイに深くハマり、何度も通うことになった。

 ハワイのことを知っていく中で、ハワイアンたちは、フラ(ダンス)や歌などで、お礼の気持ちを伝えたりもすることを知った。そこで、ハワイ独特のチューニングで弾く、ゆったりとしたハワイギターを始めていた僕は、夜の森などで撮影を終えた後、車に積んでおいたギターを取り出して、“ポロロン”と下手なりにギターを爪弾いて、自然へのお礼の気持ちを伝えることにした。自然で優しいギターの和音は、木々や滝の飛沫の中にしっとりと融合していく感じがした。

 ハワイ島に撮影に行ったとき、荷物が多くてギターを持っていけなかったことがあった。たまたまヒロの街はずれにある小さなギターショップを見つけ、中に入りギターを眺めていると、店主らしき人が声をかけてくれた。僕は、いつもは日本からギターを持ってきて撮影の後にお礼に弾くこと、今回は荷物が多くて持ってこられなかったことなどを話すと、「じゃあ、僕のギターを貸してあげるよ」と、初めて会った僕に立派なギターを貸してくれたのだった。

 僕のハワイアンの先生はいつも、「ジュンジ、人を治療するとき一番大事なことはALOHA(愛)だ。何をするにもALOHAをシェアすることが大事なんだ。」と口を酸っぱくして教えてくれた。このギターショップでの嬉しい出来事もまさにハワイのALOHAだった。ハワイと出合いこれまで様々なことを学んできたけれど、僕の心のコアな部分に一番大きな感動を与え続けているのは、この“ALOHA”だ。

 帰国前、借りていたギターをお返ししにギターショップに行った。お店の目立つところに、小さくかわいい、ハワイのコアウッドで出来た6本弦のギターが置いてあった。手荷物にして飛行機に乗れそうだし、なんといっても落ち着いた佇まいがとてもかわいかった。僕は一目ぼれし、借りていたギターをALOHAとともにお返しし、同時にその小さなギターを買って相棒になってもらうことにした。

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Profile

高砂淳二

たかさご じゅんじ。自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。
熱帯から極地まで世界中の国々を訪れ、海中、生き物、虹、風景、星空など、地球そのものをフィールドに、自然の繋がり、水や生命の循環、人と自然の関わり合いなどをテーマに撮影活動を行っている。
「PLANET OF WATER」(National Geographic),「night rainbow」「LIGHT on LIFE」「free」「夜の虹の向こうへ」(小学館)、「Dear Earth」「Aloha」(Pie International),「光と虹と神話」(山と渓谷社)ほか著書多数。写真展多数開催。
TBS「情熱大陸」、NHK「SWITCHインタビュー」をはじめ、テレビ、ラジオ、雑誌等のメディアや講演会などで、自然の大切さ、自然と人間の関係性、人間の地球上での役割などを幅広く伝え続けている。
自然写真の世界最高峰といわれる「Wildlife photographer of the year 2022」“自然芸術性”部門で最優秀賞を受賞。
海の環境NPO法人OWS(The Oceanic Wildlife Society)理事。
みやぎ絆大使。石巻観光大使

JUNJI TAKASGO
Photographer. Born in Ishinomaki City, Miyagi Prefecture.
After photographing exclusively for a diving magazine, Takasago establishes Takasago Photography Office in 1989. With the entire globe as his work field, he shoots his way around the world capturing moments in nature from underwater to aerial, photographing wildlife, landscapes, natural phenomena and stars. Takasago has authored more than 30 publications.
Exhibitions of his work have been held at Salzburg Museum, Nikon THE GALLERY, Tokyo Midtown Fuji Film Square, Shibuya Parco, Konica Minolta Plaza, , to name a few. In 2008, he was appointed to the Pacific Islands Summit commemoration photo exhibition “Pacific Islands”, hosted by the Ministry of Foreign Affairs. Takasago makes appearances on a wide range of media including TV shows, radio programs, magazines and talk events, where he continues to communicate his thoughts on nature and the relationship between nature and humans. between nature and humans.
He received the Natural Artistry Award at the WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR 2022 hosted by the Natural History Museum London, one of the most prestigious photography awards in the world.
Takasago was appointed Kizuna Ambassador for Miyagi prefecture in 2018.
He serves as a director at “The Oceanic Wildlife Society”, an NPO organization for marine conservation.

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